会長よりご挨拶
会長 森川 正章
2023年度より第8代目の会長を仰せつかりました森川正章です。当学会は、「基礎研究と応用的技術開発の成果を交換することによって環境バイオテクノロジー分野の加速的な発展に寄与すること」を趣旨としています。今中忠行先生が初代会長を務められていた1996年から2000年当時、環境問題に取り組む企業の方や一般の方と、基礎研究に目を向けがちであった学界研究者との溝を埋めるべくしてはじめられた年次大会での“本音討論会”は、画期的であり双方が歩み寄る機会を提供されました。私はこのようは秘策を持ち合わせている訳ではありませんが、四半世紀が過ぎた現在において、当学会がさらに産官学連携のきっかけを提供する場となればと願っています。会員の皆さまにおかれましては、忌憚なく素直なご要望やご提案をお寄せ頂けると幸いです。
本年7月に国連のグテーレス事務総長が国連本部での記者会見において、“Climate change is here. It is terrifying. And it is just the beginning. The era of global warming has ended; the era of global boiling has arrived.”と発言したことは人々に大きな衝撃を与えました。気候変動を食い止める対策は一か国に閉じるものではなく、国際協調や協力による包括的な取り組みが重要であることはいうまでもありません。具体的な取り組みとしては、省エネ技術と化石燃料から再生可能エネルギーへの移行に代表されますが、20世紀を支えた資源消費型の産業形態から資源循環型の農業や工業製品生産への移行も現代の要請であり、いまの環境バイオテクノロジーにできることも多いと確信しています。
ところで、1991年から2000年まで世界第一位のODA大国であった日本は、2023年のビッグマック指数と世界競争力ランキングおいて、韓国(30位/28位)やタイ(31位/30位)の後塵を拝するという残念な状況(41位/35位)です。我が国が再び元気を取り戻すためには果たしてどうしたものでしょうか。その一方で、幸福度ランキングでは、日本はアジアで台湾、シンガポールに次いで3位であり、世界ランキングでは2020年の62位から2023年に47位に躍進したことはささやかな嬉しいニュースです。ちなみに、1位はフィンランド(人口は554万人で北海道の522万人とほぼ同じ)です。会員数270余りの小さな学会なりに、会員の皆さまになんらかの価値を感じて頂けるように、担当理事および企画委員と共に尽力して参る所存です。
森川正章(北海道大学)
環境バイオテクノロジー学会設立の趣意
環境バイオテクノロジー学会は、20世紀末から今世紀にかけて出現してきた広範囲な環境問題に対処するために、国内の「環境」と「バイオテクノロジー」に関わる研究者と技術者が結集してつくられた学会です。人間社会の福祉の向上に寄与する環境バイオテクノロジーの研究・開発を推進することを目的として、1996年4月に前身となる環境バイオテクノロジー研究会が設立され、そして1999年7月に環境バイオテクノロジー学会が設立されました。
わが国では、これまでもバイオレメディエーションやエコテクノロジーを始めとする、環境バイオテクノロジーに関する研究の大きな潮流があったものの、ややもすれば研究者や技術者個人の所属する研究開発機関における活動にとどまり、それらの連携には欠ける傾向がありました。そこで、個々の研究者・技術者が相互に研究や開発の情報を交換し合いそして研究開発の意欲を高めるための場を作り、基礎研究や応用的技術開発の成果を交換することによって環境バイオテクノロジー分野の加速的な発展に寄与することを趣旨として、この学会が設立されたのです。さらに、この学会は当該分野の国際的な発展にも寄与することを趣旨としています。
環境バイオテクノロジー学会の目的は、環境問題へのバイオテクノロジーの適用の基盤となる環境バイオサイエンスの学理構築に資することで、かつその学理を広く応用した人間社会に役立つ環境技術の確立に資することです。本学会では、自然の諸原理を理解しようとする科学本来の立場からの研究者・技術者の自由な発想と創造の意欲、そして人間社会の福祉の向上に貢献しようとする意欲を最も大切にして、学会としての活動と事業展開をおこなっています。
→ 定款(PDF)
→ 委員会(PDF)
学会役員(令和5年度)
会長 | 森川 正章(もりかわ まさあき) |
北海道大学 大学院地球環境科学研究院 | |
環境微生物学 | |
ウキクサ成長促進細菌、炭化水素分解細菌、バイオサーファクタント、バイオフィルム制御 | |
https://noah.ees.hokudai.ac.jp/emb/morikawalab/ | |
副会長 | 野尻 秀昭(のじり ひであき) |
(会長補佐担当) | 東京大学 大学院農学生命科学研究科 |
環境微生物学 | |
環境浄化、難分解性有機汚染物質、バイオレメディエーション、微生物分解、バクテリア、遺伝子水平伝播、プラスミド、微生物間相互作用 | |
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/biotec-res-ctr/kampo/ | |
副会長 | 永田 裕二(ながた ゆうじ) |
(事務局担当) | 東北大学 大学院生命科学研究科 |
環境微生物学、応用微生物学、細菌遺伝学 | |
細菌、進化、環境汚染浄化、細菌ゲノム、タンパク質工学、可動性遺伝因子、デハロゲナーゼ、微生物間相互作用 | |
http://www.lifesci.tohoku.ac.jp/biideshin/index.html | |
編集委員長 | 宮内 啓介(みやうち けいすけ) |
東北学院大学 工学部 | |
応用微生物学 | |
バイオレメディエーション、ファイトレメディエーション | |
企画運営委員長 | 本田 孝祐(ほんだ こうすけ) |
大阪大学 生物工学国際交流センター | |
応用微生物学(微生物および微生物由来酵素を用いた有用物質生産に関する研究) | |
合成生物学、代謝工学、好熱菌 | |
https://hondalab.sakura.ne.jp/Molecular-M/ | |
企画運営副委員長 | 木邑 敏章(きむら としあき) |
トヨタ自動車(株) | |
環境微生物 | |
土壌浄化、海洋浄化、ポリマー分解、堆肥化促進消臭資材、SAF、土壌センシング | |
https://www.toyota.co.jp/jpn/happyagri/ | |
広報委員長 | 春田 伸(はるた しん) |
東京都立大学 理学研究科 | |
環境微生物学、微生物生態学 | |
群集機能、種間相互作用 | |
https://envmicrob.fpark.tmu.ac.jp/Home | |
会計幹事 | 豊福 雅典(とよふく まさのり) |
筑波大学 大学院生命環境系 | |
微生物学 | |
微生物間コミュニケーション、メンブレンベシクル、バイオフィルム | |
https://sites.google.com/alumni.tsukuba.ac.jp/masatoyofuku | |
理事 | 跡見 晴幸(あとみ はるゆき) |
京都大学 大学院工学研究科 | |
微生物学 | |
極限環境微生物・アーキア・代謝・転写制御・ゲノム科学 | |
http://www.sbchem.kyoto-u.ac.jp/atomi-lab/en/ | |
池 道彦(いけ みちひこ) | |
大阪大学 大学院工学研究科 | |
生物環境工学 | |
生物学的排水処理、バイオレメディエーション、資源回収・循環 | |
http://www.see.eng.osaka-u.ac.jp/seewb/seewb/ikelab/ | |
井上 謙吾(いのうえ けんご) | |
宮崎大学 農学部 | |
応用微生物学、環境微生物学 | |
微生物燃料電池、細胞外電子伝達、廃水処理、環境汚染物質分解 | |
https://www.cc.miyazaki-u.ac.jp/kinoue/top | |
岩崎 一弘(いわさき かずひろ) | |
独立行政法人 国立環境研究所 | |
農芸化学、微生物生態 | |
環境微生物、土壌・地下水汚染 | |
笠井 大輔(かさい だいすけ) | |
長岡技術科学大学 工学部 | |
環境微生物学、応用微生物学 | |
分解遺伝子群、転写制御、代謝酵素、生分解性プラスチック、天然ゴム | |
http://bio.nagaokaut.ac.jp/~dkasai/ | |
簡 梅芳(Mei-Fang Chien) | |
東北大学 大学院環境科学研究科 | |
環境微生物学、ファイトレメディエーション、バイオレメディエーション、環境保全技術 | |
植物-微生物相互作用、微生物、重金属類、レアメタル、地下資源 | |
https://sites.google.com/view/kankyo-tohoku-inouelab | |
栗栖 太(くりす ふとし) | |
東京大学 大学院工学研究科 | |
上下水道における微生物管理と制御、水環境中の微量汚染物質管理 | |
微生物再増殖、未規制汚染物質 | |
https://www.wetech.t.u-tokyo.ac.jp/ | |
黒田 章夫(くろだ あきお) | |
広島大学 大学院統合生命科学研究科 | |
環境バイオセンシング、リンのバイオテクノロジー | |
アスベスト、エンドトキシン、リン、シリコン | |
https://home.hiroshima-u.ac.jp/akuroda/index.html | |
高畑 陽(たかはた よう) | |
大成建設(株)技術センター | |
建設工事に伴う環境関連技術全般 | |
バイオレメディエーション 有害排水処理 有機廃棄物処理 緑化 環境DNA 植物工場 農地土壌改良 バイオ燃料 | |
https://www.taisei-techsolu.jp/ | |
常田 聡(つねだ さとし) | |
早稲田大学 先進理工学部 | |
環境微生物学 | |
硝化菌,分離培養,バクテリオファージ | |
http://www.waseda.jp/sem-tsuneda/japanese/index.html | |
野村 暢彦(のむら のぶひこ) | |
筑波大学 大学院生命環境系 | |
応用微生物学、環境微生物学 | |
バイオフィルム、 Cell-cell communication、 細胞外膜小胞 | |
https://www.u.tsukuba.ac.jp/~nomura.nobuhiko.ge/ | |
羽部 浩(はべ ひろし) | |
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 | |
微生物利用技術、環境負荷低減技術、未利用資源活用技術 | |
生物学的廃水処理、バイオレメディエーション、バイオリアクター、バイオベース化学品、バイオリファイナリー | |
https://unit.aist.go.jp/env-eri/index.html | |
廣瀬 遵(ひろせ じゅん) | |
宮崎大学 工学部 | |
応用微生物学、環境負荷低減・保全修復技術 | |
分解菌、バイオレメディエーション、ゲノム解析、可動性遺伝因子、分子進化、バイオマス利用 | |
http://www.chem.miyazaki-u.ac.jp/~hirose | |
二又 裕之(ふたまた ひろゆき) | |
静岡大学 大学院総合科学技術研究科 | |
環境微生物、微生物生態工学、応用微生物学 | |
複合微生物系、環境浄化、水土圏環境保全、エネルギー | |
http://cheme.eng.shizuoka.ac.jp/wordpress/futamatalab/ | |
前田 憲成(まえだ としのり) | |
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 | |
環境バイオテクノロジー | |
嫌気硝化 クォーラムセンシング制御 | |
http://www.life.kyutech.ac.jp/~toshi.maeda/ | |
諸星 知広(もろほし ともひろ) | |
宇都宮大学 大学院工学研究科 | |
細菌間コミュニケーションを基にした環境バイオテクノロジー | |
細菌間コミュニケーション バイオフィルム 微生物製剤 | |
http://www.chem.utsunomiya-u.ac.jp/lab/bio/ | |
監事 | 加藤 純一(かとう じゅんいち) |
広島大学 大学院統合生命科学研究科 | |
生物工学、環境バイオテクノロジー | |
ものつくりバイオ、環境微生物の物質認識機構、生物相互作用、植物病原細菌 | |
https://kato-lab.hiroshima-u.ac.jp/ | |
金原 和秀(きんばら かずひで) | |
静岡大学 大学院総合科学技術研究科 | |
環境微生物学 | |
芳香族化合物、微生物分解、処理システム | |
https://wwp.shizuoka.ac.jp/kimbara-shintani/ |
企画委員会(令和5年度)
委員長 | 本田孝祐 | 大阪大・生物工学国際交流センター |
副委員長 | 木邑敏章 | トヨタ自動車 |
井上謙吾 | 宮崎大・農 | |
奥津徳也 | 栗田工業 | |
加藤雄大 | 清水建設 | |
笠井大輔 | 長岡技術科学大・工 | |
簡 梅芳 | 東北大・環境 | |
栗栖 太 | 東大・工 | |
高妻篤史 | 東京薬科大・生命科学 | |
新谷政己 | 静岡大・工 | |
豊福雅典 | 筑波大・生命環境 | |
中島田 豊 | 広島大・統合生命科学 | |
廣田隆一 | 広島大・統合生命科学 | |
福居俊昭 | 東工大・生命理工 | |
堀 知行 | 産総研 | |
前田憲成 | 九州工大・生命体工学 | |
水口千穂 | 東大・農 |
事務局
連絡先
企業名・屋号 | NPO法人環境バイオテクノロジー学会・事務局 |
---|---|
郵便番号・住所 | 〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2-1-1 東北大学 大学院生命科学研究科 分子化学生物学専攻 微生物遺伝進化分野 |
お問い合わせ先 | 電話番号:022-217-5699 FAX番号:022-217-5699 メールアドレス:tenvbio(at)jseb.jp |
表彰
- 学会賞: 環境バイオテクノロジー分野ならびに本学会の発展に貢献した会員。
- 技術賞: 環境バイオテクノロジー分野の技術の発展に貢献した会員。
- 奨励賞: 環境バイオテクノロジー分野において優れた原著論文・著書を発表し将来の活躍が期待される満40 歳未満でかつ本学会誌における査読付掲載論文(総説を含む)を有する会員。
2023 | 学会賞 | 金原 和秀 | 静岡大学工学部 |
2022 | 奨励賞 | 秋田 紘長 | 産業技術総合研究所 |
2021 | 学会賞 | 加藤 純一 | 広島大学 |
2020 | 奨励賞 | 藤谷 拓嗣 | 中央大学 |
簡 梅芳 | 東北大学 | ||
2019 | 技術賞 | 黒田 章夫 | 広島大学 |
羽部 浩 | 産業技術総合研究所 環境管理研究部門 | ||
2018 | 技術賞 | 木邑 敏章 | トヨタ自動車株式会社 新事業企画部 |
奨励賞 | 堀 知行 | 産業技術総合研究所 環境管理研究部門 | |
加藤 雄大 | 清水建設株式会社 技術研究所 | ||
2017 | 学会賞 | 遠藤 銀朗 | 東北学院大学工学総合研究所 |
技術賞 | 川原 恵一郎 | 株式会社アースソリューション | |
郷田 文吾 | |||
奨励賞 | 笠井 大輔 | 長岡技術科学大学 | |
2016 | 学会賞 | 宮 晶子 | 水ing(株) |
技術賞 | 木村 裕哉 | (株)日立製作所 | |
奨励賞 | 諸星 知広 | 宇都宮大学 | |
2015 | 学会賞 | 倉根 隆一郎 | 中部大学 |
奨励賞 | 高妻 篤史 | 東京薬科大学 | |
2014 | 学会賞 | 福田 雅夫 | 長岡技術科学大学 |
奨励賞 | 豊福 雅典 | 筑波大学 | |
2013 | 学会賞 | 中澤 晶子 | 山口大学名誉教授 |
五十嵐 泰夫 | 東京大学名誉教授 | ||
技術賞 | 高畑 陽 | 大成建設(株)技術センター | |
奨励賞 | 新谷 政己 | 静岡大学工学部 | |
二神 泰基 | 九州大学農学大学院 | ||
2012 | 学会賞 | 古川 謙介 | 別府大学食品栄養科学部(九州大学名誉教授) |
奨励賞 | 井上 謙吾 | 宮崎大学IR推進機構 | |
東條 ふゆみ | 東北大学大学院農学研究科付属複合生体フィールド研究教育センター | ||
2011 | 技術賞 | 片岡 直明 | 荏原エンジニアリングサービス株式会社 |
奨励賞 | 廣田 隆一 | 広島大学大学院先端物質科学研究科 | |
2010 | 学会賞 | 大竹 久夫 | 大阪大学工学研究科 |
技術賞 | 原田 秀樹 | 東北大学工学研究科 | |
技術賞 | 水本 正浩 | 栗田工業株式会社 | |
奥津 徳也 | |||
石田 浩昭 | |||
上野 俊洋 | |||
奨励賞 | 喜多 晃久 | 広島大学大学院先端物質科学研究科 | |
2009 | 学会賞 | 矢木 修身 | 日本大学総合科学研究所 |
奨励賞 | 前田 憲成 | 九州工業大学大学院生命体工学研究科 | |
2008 | 学会賞 | 今中 忠行 | 立命館大学生命科学部 |
技術賞 | 倉根 隆一郎 | 中部大学応用生物学部 | |
奨励賞 | 春田 伸 | 首都大学東京理工学研究科 |
総会
令和2年度総会 | (2021.2.17-28 メール審議) |
令和1年度総会 | (2019.6.16 大阪) |
平成30年度総会 | (2018.6.25 つくば) |
平成29年度総会 | (2017.8.29 仙台) |
平成28年度総会 | (2016.6.14 広島) |
平成27年度総会 | (2015.6.30 東京) |
平成26年度総会 | (2014.10.23 浜松) |
平成25年度総会 | (2013.6.1 北九州) |
平成24年度総会 | (2012.6.26 宇治) |
平成23年度総会 | (2011.6.21 東京) |
平成22年度総会 | (2010.6.22 仙台) |
平成21年度総会 | (2009.6.24 東京) |
平成20年度総会 | (2008.6.27 つくば) |
平成19年度総会 | (2007.6.27 大阪) |
平成18年度総会 | (2006.6.28 東京) |
平成17年度総会 | (2005.6.28 東京) |
平成16年度総会 | (2004.7.6 東京) |
平成15年度総会 | (2003.4.2 神奈川) |
平成14年度総会 | (2002.6.28 東京) |
平成13年度総会 | (2001.10.9 東京) |
平成12年度総会 | (2000.11.7 東京) |